激闘! 書面ビブリオ!!

 
――阪大で一番熱いバトル、それはビブリオバトル

5分の持ち時間で、おすすめの本をいかに魅力的にプレゼンできるかを競うこのバトルが、
SKHOLE紙面とwebSKHOLEでも堂々開戦!
リアルタイムで参加できないあなたも、投票でチャンプ本を決めることができるんです!!

 

☆★☆ 前号のチャンプ本 ☆★☆
工藤真由美先生 が紹介された、
『舟を編む』 三浦しおん 光文社 でした!
おめでとうございます!

 
そしてこの度も阪大教授陣を大召還!
しかし学生も負けていません。超域の院生を交えたバトルからもう目が離せない?!
栄えあるチャンピオンの座はどの本に!?
今回の投票の締め切りは2013年8月末日。
いずれ劣らぬ4つの書評、あなたが「読みたい!」と思った1冊に、あなたの熱き1票を!

<投票は締め切りました! 気になる結果は次号で!>
  

さぁ、豪華バトルをご堪能あれ!!
 
 
『大災害と法』 津久井 進 岩波新書(赤版)

2011年3月11日の東日本大震災では、特に東北沿岸部を襲った津波被害により、多くの人が命を落とし、家を失い、仕事を失い、コミュニティーを失うことになった。私たちはマスメディアを通じてその破壊力の恐ろしさを知ることとなり、復興支援のために全国から多くのボランティアが被災地に駆けつけ、援助物資が集まり、多額の義援金が寄せられた。もっとも、しばしば見落とされがちなのは、こうした被害がすべて法律問題に関わっているということだ。被災者の自宅が失われたが住宅ローンはどうなるのか、職場はなくなったが雇用関係はどうなるのか、所有者家族がすべて亡くなった不動産の処理はどうしたらいいのか、枚挙にいとまがない。被災者は法的支援も必要なのだ。本書の著者は、阪神・淡路大震災で被災した経験を持つ弁護士。本書は、神戸の震災復興の経験で学んだことを、今回の震災の復旧・復興に生かすべく書かれた著。是非ご一読いただきたい。

(バトラープロフィール)

福井康太

大阪大学大学院 法学研究科 教授
法曹の新しい職域をはじめ、企業コンプライアンス、弁護士の公益活動などを研究

 

『ぼくがぼくであること』 山中恒 岩波書店

小学生のころ、不真面目で先生に叱られてばかりいる、自分とよく似た少年が主人公のドラマにはまってしまった。この作品はその原作である。
優等生ぞろいの兄妹と小言ばかりの母親に囲まれた秀一。主人公は典型的な冴えない小学生である。この主人公が夏休みの家出を通じて成長する。これだけ読むと単なる少年の成長物語に見えるが、この作品にはそんなありきたりさを超えた魅力がある。秀一がさまざまな経験や人との出会いを通して変化していく過程の描写は秀逸。特に家出から戻って以降の秀一の疾走感には思わずページをめくる手が速まる。
「ぼくがぼくであること」は、自立することであり、周りの作った基準ではなく自分の基準で行動できる力を持つことである。これは10代に限らず、どの世代にも共通する一生の普遍的な課題だろう。
単位をとることも大事だが、それに従属しない勉強をしてみてはどうか。数年後には研究生活が待っている。研究生活は楽しく、そして厳しい。有意義な研究生活を送るために、本作品を読んで、理系学部生としての「ぼくがぼくであること」を考えてはどうだろう。

(バトラープロフィール)

水谷泰久

大阪大学大学院 理学研究科 教授
専門は、タンパク質の物理化学。分子が機能する必要十分条件を明らかにしたい。
日々のつぶやきは@yasumizutaniにて。

 

『WHYから始めよ!』 サイモン・シネック著 栗木さつき訳 日本経済新聞出版社刊

「WHYから始めよ!」は、キング牧師やスティーブ・ジョブズら偉大なリーダーたちの成
功を著者独自の「ゴールデンサークル」という考え方で説明している本です。
 
人はWHATではなくWHYに心を動かされる。人が明確なWHYを持っているリーダ
ーに従うのは、そうしなければならないからではなく、自分がそうしたいから!
自分の
WHYが、ある企業のWHYと共鳴するとファンになる。Appleなどはその典型だと言うわけ
です。CPUのスピードや液晶の薄さなどはWHATの話。WHATで勝負しても、より良い物
がでてきたら簡単に負けてしまいます。
  さて、みなさんはなぜ大学で勉強しているのですか。資格試験に合格するため?一流企
業に就職するため?でもこれらはWHYではなくWHAT!WHATが目的になると少しの失敗
で崩れてしまう。でも明確なWHYを持っている人は、ちょっと失敗したくらいではへこた
れない。日本の教育はWHYを忘れWHATだけに注目してきたような気がします。
 かく言う私もWHAT人間。遅まきながらWHYで再起動中です。

(バトラープロフィール)

岩居弘樹先生

大阪大学 全学教育推進機構 教授
全学教育推進機構教授。ドイツ語、サンフランシスコからの遠隔講義などを担当。
を活用した授業を実践中。

 

『食べもの屋の昭和 30店の証言で甦る飲食店小史』 岩﨑信也 柴田書店
 「食べ○グ」や「グル○び」などでレイティングされている飲食店ひとつをとっても、その創業の裏には店主の想い溢れる起業ストーリーがあったはずである。本書『食べもの屋の昭和』では、明治や大正期に創業され昭和の時代を駆け抜けた今や老舗と呼ばれる30店舗それぞれの個性的な創業秘話、職人話が掲載されている。天ぷら、蕎麦、焼き鳥、鰌、すき焼き、そしてもちろん洋食と、店主のこだわりで語られる料理の絵柄には舌を唸らされる。一方で、うなぎ「野田岩」の金本氏が語る、「近頃よく思うんですけど、人がワーッと押しかけていく方に行かないで、人とは違う道を歩む方が生き残っていける」の言葉のように、経営者としての知見が随所に窺えるのも本書の魅力の一つである。読了後には、一度食べてみたいと思える店が幾つも見つかるはず。もちろん、学生の懐事情で太刀打ちできるかは別の話であるが。 普段研究科では、データを用いて定量分析を行っているが、数千、数万のデータ群の裏にも、本書に描かれているようなドラマがあることを忘れてはならないと感じる。

(バトラープロフィール)

佐々木周作

大阪大学 超域イノベーション博士課程、国際公共政策研究科博士前期課程在籍
計量経済学の手法を用いて、オンライン寄付行動の研究を行っている。

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