ビブリオ報告

’11年12月ビブリオバトル

司会の私が(職権を濫用し)本戦の前に本を紹介する「バトらない」ビブリオバトルから始まった12月のビブリオバトル。『薬剤師を味方につければ薬はこわくない』という薬剤師のエッセイ本を紹介した。大学院生と薬剤師という二足のわらじを履いている私が司会の立場を利用して、薬剤師に対する熱い思いを5分間、思う存分語らせてもらった。バトっていないくせに質問も頂き、なんとも嬉しい限りであった。

さて司会を務めた私の使命は自分が語った本の内容をここで語ることではなく、この日のビブリオバトルの模様を読者の皆様にお伝えすることである。というわけで閑話休題、本戦へと話を移す。この日一番饒舌だったのはSF短篇集『NOVA3』を紹介した北島さんに他ならない。作家の妄想が詰まったこの手の本は、こちらも読んで妄想するのが流儀らしく、プレゼンにおいても端々に彼の妄想が展開された。後日、私も読んで見たがなるほど、「ギリシャ文字の由来」を題材にした話は余りに馬鹿馬鹿しい妄想劇であった。

そんな一人目とは対照的に三人目と四人目は絵本をプレゼンした。「え?絵本?そんな幼稚な…」と思った貴方、大事なのはその本に対する熱い思いとそれを伝える話術である。『注意読本』をプレゼンした四人目の水原さんは、口数こそ北島さんより少なかったものの、本への思いは負けていなかった。ウィットに富んだ紹介で見事に聴衆の心を鷲掴みにし、『注意読本』はその日のチャンプ本に輝いた。

ところで、司会というのはなかなか緊張するもので、震える手と掠れる声で、傍目から見て私の緊張は一目瞭然だったろう。挙句の果てには、司会進行が拙いがために他のスタッフにマイクを奪われまでした。なかなか、熱い思いだけでは乗り切れないこともあるのである。

’12年1月ビブリオバトル

ビブリオバトル。それは、なかなか懐の大きい催しである。身内だけでひっそりやってもいいし、かと思えば観客が千人を越えたイベントもあった。今回私が司会を務めたビブリオバトルは、参加者の人数で言えば通常運転だったが、ビブリオバトルの寛容さの一端は現れていたのではないかと思う。

一際チャレンジフルだったのは一年生の広瀬さんが紹介した『くるる通信』。これは石橋商店街で配布されているフリーペーパーで、そう、そもそも本ではない。そんなルールぎりぎりアウトっぽい題材にも関わらず、彼は質疑応答の時も朗々と素晴らしさを語ってくれた(ので、司会だった私は「ありがとうございました!」の一言で丁重に打ち切らせていただいた)。

トリを飾ったのも、なかなか変化球のプレゼンであった。物理学が専門の阪大教授・菊池誠先生が発表した『超常現象を科学にした男――J.B.ラインの挑戦』。いわゆる超能力や超常現象の類を検証する「超心理学」の権威、J.B.ラインの生涯を綴った伝記だそうだ。題材に関しては問題ない。ないのだが、先生いわく、「まだ読んでない」。ええ!?しかし、「目次で大体わかる」と内容についての質問にもしっかり答える菊池先生。凄すぎる。

かくして、チャンプ本となったのは菊池先生が未読で発表した例の本。まったく、ビブリオバトルってやつは何が起こるかわからない。

ただ、ビブリオバトルへの参加をお考えの方は、あまりウケを狙って外しにいかずに、ぜひテーマに沿った本を読み終えた上で来てほしい。今回は楽しくまとまったから良かったけれど、司会としてはちょっぴり困りものなのです。

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