激闘! 書面ビブリオ!!

 
――阪大で一番熱いバトル、それはビブリオバトル

5分の持ち時間で、おすすめの本をいかに魅力的にプレゼンできるかを競うこのバトルが、
SKHOLE紙面とwebSKHOLEに登場!
リアルタイムで参加できないあなたも、投票でチャンプ本を決めることができるんです!!

 

☆★☆ 前号のチャンプ本 ☆★☆
大竹文雄先生 が紹介された、
『幸福の計算式』
(著:ニック・ポータヴィー 訳:阿部直子 阪急コミュニケーションズ)
 でした!
おめでとうございます!

 
そしてこの度も阪大教授陣を大召還!
栄えあるチャンピオンの座はどの本に!?
今回の投票の締め切りは2013年2月末日。
いずれ劣らぬ4つの書評、あなたが「読みたい!」と思った1冊に、あなたの熱き1票を!

 
<投票は締め切りました! 気になる結果は次号で!>
 

さぁ、阪大教授陣3名を含む、豪華バトルをご堪能あれ!!
 
 
 
『無限論の教室』 野矢茂樹 講談社新書
 一番受けたくない一番受けたい講義。新入生の多くが楽勝科目の情報集めに走る頃、“ぼく”は何気なくある哲学の講義に行ってみた。そこには他の学生は一人だけ。“ぼく”は文系の学生らしいタカムラさんと二人でタジマ先生の研究室で講義を受けることになる。もう抜けられない。あとで“ぼく”は、この講義を取る学生は毎年10人以下だったと知る。この年はとりわけ不人気だったらしい。講義は、無限論。実無限、可能無限、対角線論法がキーワードの、実用とはならなさそうな内容である。研究室で、毎回三人でケーキや煎餅を食べながら、タジマ先生は講義を進める。須弥山も読めない寺の息子の“ぼく”は、何か発言するといつもタジマ先生から愚劣とか最低とか言われてしまう。しかし、タジマ先生は決して威張り散らす人ではない。言葉遣いが浮世離れしている大学の先生なのである。ここには著者があとがきで述べているように、決して存在しない、しかし多くの人が何となく抱いている大学のイメージへの郷愁がある。評者も低学年ではアメリカ流の毎回宿題を課す多人数講義を行っているが、このような講義をしてみたいという憧れもある。その一方、初回に講義室に行って聴講学生が二人だった時のショックも想像に難くない。今の大学は忙しいところである。最終回の講義の後、三人で校内の野球場の土手に出て、タジマ先生がバイオリンを弾き、空に伸びる飛行機雲を見て「あ」とタカムラさんが対角線論法の対角線を思い出して小さくつぶやくシーンも有り得ない美しい光景である。しかし、上空を航空路が通り飛行機雲がたくさん見られる阪大には、第二のタカムラさんがいるかも知れない。

(バトラープロフィール)

浅川正之

大阪大学大学院理学研究科 教授
理論物理学、クォークグルーオンプラズマ、高エネルギー原子核衝突

 

『舟を編む』 三浦しおん 光文社
 小学校時代からあなたの傍らにあった国語辞典。この国語辞典を15年もの歳月をかけて完成させていく人々のドラマを想像したことはありますか? 舞台は総合出版社の辞書編集部。若き編集者達の感性が随所に光ります。一例を挙げればこんな対話。「【愛】の項目の語釈が変です。『異性を慕う気持ち。性欲を伴うこともある。恋』となっていますよね。なんで異性に限定するんですか。じゃあ、同性愛の人たちが相手を大切だと思う気持ちは愛ではないというんですか」「そう言えば先輩に言われたことがある。『その言葉を辞書で引いた人が心強く感じるかどうかを想像してみろ』って。自分は同性愛かもしれないと思った若者が【愛】を引く。そのときに『異性を慕う気持ち』と書いてあったら、どう感じるか、そういう事態が想像できていなかった!」
日本の近代辞書の嚆矢とされるのは、明治時代、大槻文彦が私財を投じ生涯をかけて編んだ『言海』です。辞書は言葉の海を渡る舟。最もふさわしい言葉で思いを届けるために、自由な航海をする人々のために編まれた舟。豊穣なる言葉の海をゆく舟を編む人々の格闘と成長の物語を大いに楽しんでください。

(バトラープロフィール)

工藤真由美

大阪大学大学院文学研究科 教授
現代日本語文法論、言語接触論

 

谷崎潤一郎著 『猫と庄造と二人の女』 新潮文庫
とにかく不条理な小説である。
 まずストーリーからして訳がわからない。猫好きが高じて若い色男が身を持ち崩す。男に思いを寄せる女たちはそれを傍目で見て猫に嫉妬する。聞いたことのないストーリーであるし、何のためにそのような小説が書かれるべきなのかも全くわからない。
 作者は谷崎である。当然のことながら『細雪』その他の作品と同じように世界最高峰の文体で猫好きの男の物語を淡々と綴っていく。大阪の姉妹の日常をまるで映画を観ているかのように映し出すあの文体で猫をかわいがりすぎて身を持ち崩す色男を描いていく。なぜこの話が最高の文体で表現されなければならなかったのかさっぱりわからない。
 私は子どもの頃から読書が好きで本と共に生きてきた。私が親しんできた優れた文学には大抵メッセージがあった。しかし、この天才はそんなことは気にもかけず、ひたすら美しい文章で日常を映すだけなのである。まるで「人生には意味なんてない。ただ流れて行くのみ」とでも言うかのように。

(バトラープロフィール)

松行輝昌

大阪大学 学際融合教育研究センター 准教授
ミクロ経済学理論、産業組織論、アントレプレナーシップ

 

『ドラえもん短歌』 選:枡野浩一 小学館
 今年、2012年の9月3日をもって、ドラえもんはマイナス100歳になった。マイナス100歳になったなんて妙な年齢の重ね方だが、まあとにかく今年はそんなドラえもんイヤーとでも言うべき年なので、ドラえもんにまつわる素敵な本を紹介しようと思う。
それがこの「ドラえもん短歌」。これ以上ないくらい簡潔なタイトルだ。一般応募で集まった短歌の中から、大きな字で93首(これはドラえもんの誕生日にちなんでいる)、その他の入選作が巻末に小さな字で載っている。
 一口に「ドラえもんをテーマにした短歌」と言ってもその切り口は実に様々で、思わず笑ってしまうコミカルな歌があったと思えば、熱い恋の歌があり、現実の悲しさを切り取った歌がある。また上手い具合に漫画のコマが配置されていて、歌との相乗効果で感情を揺さぶられてしまう。幼い頃ドラえもんを見て心躍らせたことのある方なら、きっと私と同じ気持ちになるのではないだろうか。ドラえもんは待てど暮らせど私の部屋の引き出しからは(そして多分あなたの引き出しからも)出てきちゃくれないけど、それでもずっと、幼い頃のワクワクと一緒に私たちの中にいるのだ、と。

読んだあと懐かしくなる『ドラえもん』自体がタイムマシンってことか(仁尾智)

(バトラープロフィール)

ミズハラ

大阪大学 外国語学部外国語学科日本語専攻四年
ドラえもんマイナス100歳の誕生日は友人と祝った。

 

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