紙上ビブリオ 投票画面

激闘!書面ビブリオ!!
今、阪大で一番熱いバトル、それはビブリオバトル!
5分の持ち時間で、おすすめの本をいかに魅力的にプレゼンできるかを競うこのバトルが、ついにスコレにもやってきた!!
本読みの巧者たちの、舌戦ならぬ筆戦をとくとご覧あれ!

気になる結果は次号で!→コチラ

殊能将之 『ハサミ男』 講談社文庫
最初に依頼を頂いたときから、せっかくの紙面ビブリオなので、普段のビブリオバトルでは紹介できない本を紹介しようと決めていた。
それは殊能将之「ハサミ男」。
舞台となる街には、美少女を殺害し、現場に研ぎあげたハサミを残す猟奇連続殺人犯「ハサミ男」が出没していた。
なんとこの「ハサミ男」が本作の主人公。
いつも通り次の犠牲者を決め、犯行に及ぼうとしたが、その少女は既に誰かに殺されていた。
しかも主人公は第一発見者になってしまった!
現場にはハサミが残されており、警察やメディアはハサミ男の犯行だと断定。
主人公だけがハサミ男の無実(?)を知っている。
一体誰がハサミ男を騙っているのか?ハサミ男は調査を開始し、徐々に真犯人に近づく……。
殺人犯が殺人犯を追い詰める、緊張のミステリー小説。
だが、中盤である仕掛けが発動し、物語が180°転換する。
この書評を読んだあなたは既に、作者の手の中にいる。
読まねば判らない、読まねばならない!
ネタバレできないけど感動を伝えたいというこの苦しさを、読み終わったあなたならきっとわかってくれるでしょう。
騙される快感は癖になるので注意。

(バトラープロフィール)

やまね(ビブリオの女王)
第5回ビブリオバトル優勝。
第9回ビブリオバトル優勝。
第10回ビブリオバトル優勝。
第16回ビブリオバトル優勝。
第23回ビブリオバトル優勝。
ハラマキ愛好家。

円城塔 『Boy’s Surface』 ハヤカワSFシリーズ―Jコレクシ ョン
初恋。
男の子が女の子を見初める。
男の子は女の子の視線を想定して、振る舞いを変える。
振る舞いを変えた男の子は、再び女の子の視線を想定し、再び振る舞いを変える。
この作業を十分多く繰返した後、男の子が自分の見初めた女の子の理想に近づき、
見事女の子のハートを射止めることができるか否か、これが初恋における中心的な問題である。
よく知られているように、初恋は実らない。
今回紹介する本、円城塔の「Boy s Surface」は、 サイエンス フィクション。
上記の初恋の構造を「レフラー球」という数学的抽象概念として表現した上で、
それを用いた「初恋の不可能性の証明」が行われてしまった世界が舞台。
男の子が女の子を見初め、男の子が変化し、それを見た女の子が変化して……
という系についての証明は、未だ無い。
数学者アルフレッド・レフラーとその恋人フランシーヌ・フランスの噛み合わない恋愛を縦軸に、
レフラー球が探索する数理空間からの報告を横軸に織り成す、「ひとつの青い証明」が、貴方と紙面の間に展開されることを祈ります。

(バトラープロフィール)

きたじま(とおりすがり)
物理屋。初心者競技プログラマー。
記事も書く。
受動的ナンパが得意。
好きなジャンルは、ラブコメ。

保坂和志 『小説の自由』 中央公論新社
小説とは芸術である。
いきなりこんなことを言い出した日には、当然のように不審者扱いされる。
世知辛い世の中である。
しかし今日、小説は人々に誤解されている。
小説は、ストーリーが面白い散文のことでもなければ、登場人物に感情移入するための枠組みでも、
ましてや作者の価値観や思想を開陳するための道具でもない。
小説は芸術であり、つまるところそれは「何か」を考えるための優れた手段なのだ。
小説的思考、という言葉を筆者は用いている。
これは、本来は皮膚感覚でしか体得できないような「大切な何か」について、
言葉を使って(他の芸術分野なら、言葉ではなく音や光を使うことになる)ゆっくりと遠回りをしながら考えてゆく道のことだ。
ちょうど、木の葉を一枚一枚丁寧に書くことで樹全体を描こうとする作業に似ている。
この本、 『小説の自由』は、小説的思考に沿って書かれた小説論、いや小説そのものである。
和音を一つ一つ積み重ねていくように誠実に響く思考の流れを追いかけていくことは、
それ自体が刺激的な知的体験でもあるし、何よりこれからの読書体験をガラリと違った色に塗り替えるほどの新鮮さをもって、みなさんの心に届くと私は確信している。

(バトラープロフィール)

かなざわ(変態紳士)
人科在住、ようじょを愛すアイス屋さん。
将来の夢は歩く黒歴史。
守備範囲は幼稚園から卵まで。

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