松村真宏(経済学研究科経営学系専攻准教授)

プロフィール

松村先生工学系出身で経済学系に在籍しながら仕掛学系の研究をする、
ひねくれ者のネット依存系研究者。
勉強嫌いで教育者だけにはなりたくないと思っていたのに、
気がつけば教育職についている、矛盾に満ちた存在。
東京好きのアンチ東京派。
趣味は娘たちと遊ぶこと。
ビールを2、3杯飲み、その後は日本酒を冷でチビチビしながら
島らっきょうや水茄子をつまむのが最高の贅沢。
いつ死んでも後悔しないように刹那的に毎日を生きている。
好きな言葉は、Stop and smell the roses.


経済学部 経営学専攻の准教授でありながら、実は工学系の出身であるという異色の経歴を持つ松村先生。
「データマイニング」「テキストマイニング」などの講義を担当し、ゼミでは「仕掛学」なるものを研究しているとのこと。
そんな松村先生の研究室にお邪魔してきました。

インタビュー

先生は経済学者なんですか?
ちがいますね。工学者です。博士(工学)ですから。
それに経営系なので、ミクロ・マクロみたいな経済の話はやらない。
中心となる研究テーマは「影響力(influence)」で、人はどのような仕掛けから影響を受け、行動を変化させるのかを研究しています。
経営系の研究室だけど、分野にはこだわらず色々なことをやってると言ったほうがいいかな。
本棚には色んな分野の本が並んでいるんだけど、1つのテーマでも色々な切り口から複合的に見ると可能性が広がるので。

どうして工学系から経営系に移られたんですか?
理由なんてなくて、運命!
・・・あえて理由を挙げるとすれば?
うーん、経営系には意外と専門分野が違う人っているんですよ。
ほかの分野には経営分野に活かせるものがあって、たとえばデータ処理とか数理モデルとかは工学系・情報系の人の方が得意、という感じです。
扱うデータ・対象は違うけど、手法自体は一緒なので、新しい知見を得られると。
そういうスキルを活かせる分野は専門外にもたくさんあって、むしろ専門外の分野だと自分にしかわからないことがあるぶん有利な場合もあるんです。
もちろん、逆に経営系の人が他の分野に移ることもあって、そういう人たちが相互の分野間での専門知識を輸入・輸出する役目を果たしています。

ストロングタイ・ウィークタイって聞いたことある?
人間関係論で使う言葉なんだけど、普段からよく話す人をストロングタイ、そうでない人をウィークタイって言う。
どっちが重要かは場合によるけど、
ストロングタイはお互いにどういう情報をもっているかを大体知っているぶん、あまり新しい情報はない。
ウィークタイは普段のつながりが薄いだけに、価値の高い情報を持っていることがある。

出身学部の延長で勉強するのは、気楽でいいし、問題設定もよくわかってるけど、結局その分野の中だけで終わってしまうことも多い。
もっと自分の可能性を広げるためには、違う分野に行って、新しい問題を知って、ブレイクスルーを見出すほうがいい。
それに他分野だと敵も少ないしね。未知の世界も広がっている面白さもある。
まぁ敷居が高いのが難点だけど、それさえ上手く乗り越えられれば。
だから、学部・分野が違うということで驚かれることもあるけど、実は理にかなっている。

「未来」についての本として、100年以上前の本を挙げていただいたのですが、その理由はなんですか?
考現学入門」ですね。
今和次郎さんが街中を歩きまわって、目に映るものすべて観察して、記録していった本です。
たとえば、眼鏡の人は何人で・・・銀座の街を歩いている人の格好はこんなんで・・・家の中には何があって・・・お茶碗の欠け具合はこんな感じで・・・といった感じに、
あらゆることに興味を向けて記録していった。
こういう好奇心・探究心は未来にいっても変わらないし、
自分にとっての未来は自分が年をとることで、そうすると目に見えるものは固定化していく。興味のあるものだけ見るとかね。
でも、普段見逃している、見えているけど見えていないものってたくさんあって、
そんなものにちゃんと目を向けるような感性をもたないと、人生が貧しくなる。
そういうことに未来になって気付いても遅いので、「考現学」のような昔を振り返るようなものを常に心に抱いてるといいんじゃないかなと。

座右の銘は「Stop and smell the roses.(立ち止まってバラの香りをかぐ)」とのことですが。
目的地・ゴールに行くことが人生じゃなくて、その途中が人生やからね。
ゴールにはただのゴールで、そこには何もない。だから、ゴールだけを目指していると着いたときになにも残らなくなる。
何もない日常をいかに楽しくすごすか、立ち止まってバラの香りをかぐのが一番大事。
特に子供がいると実感するね。
子供がちっさいときが楽しいんだけど、その時期は研究者として大事な時期でもある。
そこでゴールである研究に向かって頑張る人もいるけど、僕は今の時間を大事にしたいと思ってる。

子供さんとはよく遊ばれるんですか?
土日は必ず遊ぶし、夜は一緒に寝ています。9時ごろに(笑)
朝は5時ぐらいに起きて、そこから子供が起きてくるまでを研究にあてています。
今は子供と遊ぶ時間を多く取りたいので、子供が起きている時間は家で研究はしていません。
研究はライフワークだから、今日いそいでもかわらないんです。
研究とか論文はゴールじゃない。ゴールは『仕掛学』をつくること。
焦っても仕方ないのでのんびり子供と遊びながら研究をしています。
でも、子供の視点って面白くて、親の目線からは見えないものを気付かせてくれることもある。
それを一緒に遊びながら観察してるので、ある意味では遊んでるのも仕事の一種と言えるのかもしれませんね。

未来の学生に向けてのメッセージなどあればお願いします。
自分に枠を作らないこと
自分はこれしかできないとかじゃなく、なんでもできるんだと考えることが大事

工学系から経営系に移った松村先生が仰ると説得力がある気がします。
本日はインタビューへのご協力ありがとうございました。

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