中村征樹(大学教育実践センター・文学研究科准教授)

阪大教員の中でも屈指の生徒人気を誇る、通称「まさにゃん」こと中村先生。
「ゆるキャラ」としてのイメージがすっかり定着し、ツイッターで学生に遊ばれる光景もしばしば。
そんな中村先生の、ゆるくない側面が垣間見えるインタビュー。必読です。

プロフィール

中村先生1974年、神奈川生まれ。なんとなく科学者の道を志して、1993年、東京大学理科一類に入学。当時は物理をやりたいと思っていた。専門に進むとき、 ちょっと哲学とかも面白いかもと科学史・科学哲学の研究室に進学。それからフランスの科学史を研究していたのだが、その後、ひょんなことから文科省の研究 所に。そこで科学技術政策について調査・研究しているうちに、阪大に移ることになり、今度は高等教育とか哲学を掲げる部署に所属することに。流れ流されて いまに至る。

インタビュー

研究テーマについて教えていただけますか。
科学技術の発展によっていろんなことが可能になったり、明らかになってきています。そのことが、私たちの社会にとってどういった意味を持ってくるかについて考えています。
たとえば、研究が進むことで、いままで直らなかった病気が治るようになる。それは一見、いいことのように見えるんだけど、その陰にはいろんな倫理的問題があったりする。そういうことを考えていくことが重要だと考えています。

その分野に進んだきっかけはなんですか
科学と社会の関係に関心を向けるようになったのは、高校生の頃に読んだ『知性の叛乱』という本の影響が大きいですね。大学で研究をやっていくことにはどういう意味があるのか、現代社会において学問とは何なのか、という問題と真摯に向かい合った本です。
1960年代の大学紛争のさなかに書かれた本ですが、科学者になることの意味とか責任について、深く考えさせられました。その本を受けたときに受けた衝撃っていうのが、いまの自分にずっとつながっているように思いますね。

学生へのおススメ本は『貧乏人大反乱』とのことですが。
また「反乱」の本になりましたね(笑)
知性の叛乱』とは違って、もっとポップな感じで、僕と同年代の著者がこれまでやってきたアホな運動とかデモについて書いている本なんですけど、すごく面白いんですよ。とりあえずデモやってみよう、というところから出発して、それから口実を探してデモをしたり。たとえば「撤去された放置自転車を返せ!」とかね。運動っていうと堅苦しいイメージがあるんだけど、そういうイメージを軽く裏切ってくれる。
阪大生にも、いろいろ期待を裏切るようなことしてもらいたいなあ。デモじゃなくてもね。
例えば学生生活についても、大学に不満があったら文句言えばいいし、まわりの目とか気にしないでもっといろいろ自由にやってもいいんじゃないかな。最近の学生はおとなしいって言われるけど、あまり環境に順応しないで、もっとアホなことやってもいいんじゃないかな、というメッセージを伝えたい。

本棚について、何かこだわりはありますか。
場所ごとに入れる本は一応、決めているんですが、結構ごちゃごちゃになっちゃっていますね。これはここらへんと思っていても、本棚が一杯なので、ほかのところに適当に突っ込んじゃったり。
いろいろなことに手をだしているうちに、あまり節操のない本棚になってますね。

確かにかなりの分量の本ですね。ここにある、「メガネマガジン」ってなんですか?
文部科学省に勤めていた頃に、丸の内を歩いていたら、写真を撮らせてくれと頼まれて。「メガネ男子」を特集するムックとかで、モデルとして、写真が掲載されました。
ちなみに、キャッチコピーは「真面目さが漂う、公務員メガネさん!」

学生に愛されていますよね。「まさにゃん」と呼ばれたり、研究室の扉が面白いことになっていたり。
意味が分からないですよね(笑)
ツイッター上でとある(縁もゆかりもない)フォロワーさんが呼び出したのが、気がつくと広がってしまいました。
研究室の扉は、勝手にいろいろなものが貼られてるんですよ
※何があるかはここでは秘密にしておきます。気になる方はまさにゃんの研究室へGO!

本日はありがとうございました。
どうもー。

おすすめ本Q&A

学生へのオススメ本
『貧乏人大反乱』松本 哉 (著)
著者がこれまでやってきた、アホで面白い運動とかデモについて書いている本です。運動っていうと堅苦しいイメージがあるけど、そういうイメージを軽く裏切ってくれる。阪大生も、デモに限らずいろいろ期待を裏切るようなこと、アホなことをやってもいいんじゃないかな。

先生自身のお気に入り本
『知性の叛乱』山本義隆
大学紛争のさなかに書かれた本ですが、科学者になることの意味とか責任について、深く考えさせられました。
高校の時に出会って、その時に受けた衝撃っていうのが今の自分にずっとつながっているように思いますね。

テーマ「未来」と聞いて思い浮かぶ本
『エモーショナルデザイン』ドナルド・A. ノーマン (著)
デザインというのは、モノを介して人と人が繋がっていくこと、使う人への配慮をすることで、工学と倫理の接点にあるもの。
単に役に立つだけじゃなく、想像力をかきたてたり、安らぎを作ったりする「物のあり方」っていうのが今後重要になるのではないかな。

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