徒然書評~ビブリオバトル真夏の決闘編~

 今年の7 月は、各地で記録的な暑さであったという。これだけ暑いと屋内外でページを手繰る手が汗ばんできて仕方なし。読書も集中すればエネルギーを著しく消費する。一気呵成に読んでしまえと、アツくなりがちな読書家諸兄も熱中症には注意されたし。

 さて、Scienthrough 主催阪大ビブリオバトルも7 月の開催で14 回目を迎えたわけであるが、今回はなんと超豪華ゲスト勢が多数出演!!各ゲストバトラーの発表は、まさに高校野球に勝るとも劣らない「アツさ」である。今回の書評は、豪華ゲスト陣の紹介も兼ねてお送りしよう。まずは、大阪大学社会経済研究所教授、大竹文雄氏による齊藤誠『競争の作法 いかに働き、投資するか』。本書は、2000 年代の「実感なき景気回復」の実態と、現在の格差原理を明晰な論理と平易な言葉によって解明する。しかし、それに終わらないこの本のアツさは、あえて競争の「作法」を読者に訴え、著者自身がそれを実践している点である。まさに研究者のアツい魂が行間から溢れてくるのだ!!

 次は、大阪大学経済学研究科教授、堂目卓生氏による道尾秀介『光媒の花』。この作品は群像劇にして、現実では目を背けたくなるような不幸を抱えた登場人物達の日常とドラマが描かれる。人生は退屈なだけでなく苦しい、その模様を著者の流麗な筆致がえぐり出す。美しいということは残酷だ。だが、そんな中でも行間に垣間見える一筋の「光媒の花」の輝きに、思わず胸がアツくならざるを得ないではないか!

 …さて、三人目のゲストは大阪大学生活協同組合常務理事、岡田憲明氏による飯泉太子宗『壊れても仏像―文化財修復のはなし』。本書は仏像修復の現場から、仏像の疑問や謎を解説しているが、もちろんそれだけではない。私たちの常識を覆す、仏像の「虚像」と「実像」を詳らかにし、文化財修復のプロしか語ることのできないアツい仕事論と仏像への愛に溢れているのだ!!

 最後は、京都大学情報学研究科助教、永原正章氏による山田風太郎『魔界転生』。幕府転覆を謀る由比正雪は、魔術によって転生した天草四郎時貞や宮本武蔵らを操り、これに対するは天下の剣豪柳生十兵衛。夢のオールスター対決が今始まる…永原氏によれば、本書は一度読みだすともう、止まらない「ドラッグ読書」の虜になるという。手汗握る展開に心底アツくなること間違いなし!!さて、今回のチャンブ本は、『光媒の花』『壊れても仏像』が同着で11票ずつ獲得!!真夏の夜の死闘は、同率首位に終わって、めでたしめでたし…!?嗚呼アツかった!次回も乞うご期待!

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